長崎のGH入居者死亡火災事故、先ごろの障害者施設の火災死亡事故などを背景に小規模な福祉施設に対する消防法が4月1日より改正されます。本改正では小規模な福祉施設(275u以上1000u未満)のみならず1000u以上の老人保健施設など、消防法上(6)項ロに該当する入所施設全てにおいて適用されることになります。
改正前 改正後
用途区分 収容人数
(6)項 病院、診療所、助産所 30人以上
老人福祉施設、地域活動支援センター、身体障害者福祉センター等
幼稚園、特別支援学校
(16)項イ 複合用途の建物等のうち、その一部に(1)項〜(4)項、(5)項イ、(6)項、(9)項イの用途部分を含むもの
(16の2)項 地下街
用途区分 収容人員
(6)項ロ 主として要介護状態にある者又は重度の障害者等が入所する施設、救護施設、乳児院、認知症グループホームなど 10人以上
(16)項イ 複合用途の建物等のうち、その一部に(6)項ロの用途部分を含むものに限る
(16の2)項 地下街((6)項ロの用途部分を含むものに限る)
(6)項 病院、診療所、助産所 30人以上
老人福祉施設、地域活動支援センター・・・
幼稚園、特別支援学校
●主な改正点(平成21年4月1日施行)
@防火管理者の選任について
A消防設備等の設置について
●これまで30人以上の施設について防火管理者の選任が必要でしたが、収容人員10人以上(職員も含む)の対象施設(老健・GH・有料老人ホーム等など)には防火管理者を選任しなければならないことになります。
(6)項ロにあたる建物で以下の建築面積の建物についてはそれぞれ所定の消防設備の設置が必要となります。(6項ロ・・消防法ではそれぞれの建物の使用目的別に項目分けしている)
 (6)項ロにあたる施設(主として要介護状態にある者・・等が入所する施設)老健・特養・養護老人ホーム・GH・短期入所施設・有料老人ホーム・重心障害児施設など

●火災報知設備・自動通報装置・消火器・・・すべての対象施設
●スプリンクラー ・・・延べ床275u以上
 ※スプリンクラーについては構造、設備などの状況によって免除される。

●改正消防法上では275uを超える福祉施設等についてはスプリンクラーを設置しなければならないことにになっていますが・・すべての275u以上の建物と言う訳ではなく、一定の基準により特例(スプリンクラー設備の設置を免除・簡易的なスプリンクラーでも可)できる特例基準があります。
●建物の基準による特例措置です。(全ての用件を満たす場合スプリンクラーの設置が免除されます。

居室を準耐火構造の壁及び床で区画

室内に面する壁・天井・外までの廊下・通路は準不燃材、その他の部分は難燃材

区画する壁及び床の開口部の面積の合計が8u以下かつ、ひとつの開口部の面積が4u以下

ハの開口部は防火戸で随時開けることができる自動閉鎖装置付または次の構造による

随時閉鎖でき煙感知器の作動と連動閉鎖

居室からから外へ出る廊下には直接手で開く事ができ、かつ自動で閉鎖できる部分を有し、その部分の幅が75p以上、高さ1.8m以上、床面から15p以下であること

区画された部分すべての床面積が100u以下であり、区画された部分に4部屋以上がはいっていないこと

●既存の建物の場合上記条件に合致しない場合もあります、1000u以上の平屋建ての建物についての特例がこの程示されました。
●下記の条件1〜3全てにあえば通常のスプリンクラー設備でなく、水道直結型のスプリンクラー設備でも可能・・要申請(平成20年12月2日付け消防予第314号)

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床面積が1000u以下ごとに防火区画されている事。
2. 防火区画毎に直接安全な外へ通ずる避難口があること。
3. 床面積を1000で除した数(端数切捨て)以上の介助者が24時間いること。
●上記1.2に合致する建物で、下記の条件@〜Bのいずれかにあえば、特例によりスプリンクラー設備は不要です。ただし申請が必要となります。
@夜間における介助者一人当たりの自力避難困難者(要介護3以上)の数が、従業者にあっては4人以内、近隣協力者にあっては3人以内となるよう介助者の数が確保されているもの。
A全ての部屋から、出火した居室の前を通らず直接外へ避難でき、夜勤者2名又は、夜勤者1名+協力者1名以上確保されていること。
B避難所要時間と避難限界時間(いずれも一定の方式により算出・避難所要時間は避難訓練による実測時間を利用可能)とを比較した結果、避難所要時間が避難限界時間よりも短いと認められるもの。
●避難所要時間とは 要保護者が避難に要する時間であり、「避難開始時間」と「移動時間」の和により算定するものとする
●避難限界時間とは  火災により各居室や避難経路が危険な状況となるまでの時間であり、「基準時間」と「延長時間」の和より算出する」
●『避難開始時間』・・要保護者が避難を開始するまでに要する算定上の時間、その基点は自動火災報知設備の作動時を想定する。

●『開始時間』の基点は自動火災報知設備の作動時を想定し、避難前の状況としては夜間において、要保護者は各居室、職員は勤務室、近隣協力者は自宅にいることを想定する。

●『移動時間』は要保護者の移動に要する算定上の時間であり、移動経路としては、それぞれの居室から、想定される避難の時点において避難限界時間に達していない部分を経由し、最終的に地上に至る最短の経路をとることを想定。

●要保護者は介助なしでの避難はできない『要保護者一人につき介助者一人の介助形態を原則!手つなぎで安定歩行にて避難できる場合は要保護者2人に介助者一人、ストレッチャーを用いての介助を行う場合にには要保護者一人につき介助者2人の介助形態として算定上取り扱うものとする。
                  
                    (平成19年6月13日 消防予第231号準用)
※この避難所要時間と避難限界時間より短いと認められるについての判断は各消防署(事務組合)予防課毎の判断による。